ホーム > 2016年度視察レポート > トイレのできた村の誇り
今回の東ティモール訪問では、村の全戸にトイレが完成したばかりのロイミアソリンバルン村の現状も視察することができました。ロイミアソリンバルン村は、首都ディリから南西へクルマで6時間走った山間部にあります。半年前に実施したトリガリングのあと、すべての家がトイレづくりの決意を表明。全112軒の全戸にトイレが完成、ついに長かった屋外排泄の習慣に終止符を打ちました。視察チームが訪問した日は、まさにその屋外排泄根絶宣言(ODF宣言)のセレモニーの日。県の役人や衛生オフィサー、ユニセフ東ティモール事務所からも担当者がゲストとして参加し村人たちをたたえます。この日はまるで村を上げてのお祭りのようです。
我々視察チームの熱烈な歓迎は、タイスの贈呈から始まりました。タイスは東ティモールの伝統的な織物。幾何学的な模様が印象的です。歓迎のダンスを元気いっぱいに踊る子どもたち。民族楽器の生演奏が集落中に響き渡ります。村民全員でお祈りを捧げ、その後はゲストも一緒に手洗いを実践。そして、ODF宣言文の除幕式が執り行われました。村長がマイクを持ちます。CLTSの活動報告に続き、屋外排泄根絶(ODF)を声高らかに宣言。列席のゲストや会場に集まった村民たちからは、割れんばかりの拍手喝采です。どの顔も誇らしげ。村民自らが意識を変え取り組んだ活動が、こうして、子どもたちの健康を守っていくトイレになったのです。ネピアからも祝辞を述べ、村の子どもたちのために、サッカーボールを贈呈しました。
視察では何人か村人にお願いし、自宅のトイレを見せてもらうことができました。ODF宣言した誇りで、村人はみんな笑顔で歓迎してくれました。
トイレをつくった理由は、屋外排泄をしたくなかったから。それは病気になりたくなかったからです。近所にトイレがあったのを見ていて、うちにも作ろうと思いました。掃除をきちんとすることでトイレはいつも清潔に保っています。トイレができる前は、子供たちがよく病気になっていましたが、今では、下痢等の病気をしなくなりました。うれしい限りです。(マルコス・ソアレス)
トイレができて、自分で健康をコントロールできるようになったのは大きいことだと思います。夫婦お互い に健康を気遣っていたこともあり、二人で話し合い、トイレをつくりました。今回、村が ODF 宣言したことで、 村全体が健康になることを期待しています。病気で2人のこどもを亡くしましたが、いま妻のおなかにいる 赤ちゃんが健康的に育てくれることを願っています。(アントニオ・マルティンス)
汚いものから自由になりたいという思いからトイレは建てました。トイレのつくり方は知っていました。穴堀に3日、整地に1日、完成までに計8日間。妻も石集めなどを手伝ってくれました。トイレを使いはじめて、子どもたちの腹痛がなくなりました。家にトイレがあることが健康にどう関係しているか、子どもたちが理解してくれているといいのですが。村が屋外排泄根絶宣言(ODF宣言)したことにとても期待しています。一人ひとりが健康でいることの大切さを理解すれば、もう屋外排泄するようなことはないと思います。(エスタニスラウ・マスカレニャス)
政府の医療関係者からトイレの重要性を教えてもらったことがきっかけで、トイレをつくりました。木や葉っぱをつかった簡易的なつくりですが、材料はすぐに手に入るので、壊れてもすぐに作り直して使えます。以前、私は屋外排泄をしていた頃は、おなかが痛くなったり、熱が出たりしていました。トイレは健康に欠かせないほんとうに重要なものだと思います。(デメトリオ・マルケス・ドスサントス)
今の家を建てた際にトイレをつくりましたが、前に住んでいた家にもトイレはありました。隣村にある家内の実家にもトイレはあります。夫婦ともに、トイレは暮らしに必要なものということを理解できる環境で育ったんです。でも、トリガリングに参加してその思いはさらに強くなりました。いま欲しいのは簡易水洗式のトイレです。東ティモールには、トイレのないエリアがまだまだ沢山あります。子どもたちが可哀想です。もちろん親も。子どもが病気になると、何十キロも離れた診療所に子どもを抱えて連れて行かなければならないですから。ほんとうに大変です。(アントニオ・マスカリナス)