nepia 千のトイレ2012プロジェクト

事前視察レポート

フィールド視察1日目4月10日エルメラ県エスタド村、フンボエ村

フィールド視察1日目は、これまでのプロジェクトによってトイレができた村の様子を中心に視察を行いました。
首都のディリから車で山道を約2時間、エルメラ県の県庁所在地グレノにて、県庁を表敬訪問ののち、そこからさらに舗装のされていない道を30分で、エスタド村にたどり着きました。

エルメラ県エスタド村 屋外排泄ゼロを達成したセレモニーが開かれていました。

エスタド村は、2010-2011(第3フェーズ)のプロジェクトの支援対象地です。村には、12の集落があり、今回の視察の際には、4つの集落で家庭用のトイレの建設などが完了し、屋外排泄の根絶(ODF)を達成しました。プロジェクトチームが村を訪れたその日、村の集会所では、ODFの達成を承認するセレモニーが行われました。
集会所には、村の人々のほか、村長、県庁職員、水道局職員などが集まり、挨拶や説明などが行われたほか、村の子どもたちによる「衛生の歌」の披露や、 4集落のODF宣言を記したボードの前でのテープカットなど、さまざまな記念行事が行われました。

セレモニーの前後で、我々は村の様子を少し見学させてもらいました。新たにつくられた衛生的なトイレ。木枠でつくられた穴の部分には、どこも必ずフタが取り付けられていて、感染症の原因となるハエの侵入を防ぐことができます。
とある家庭のトイレの外には、ポリタンクと竹で手作りした手洗い場が設けられていました。プロジェクトでは、トイレづくりとともに、手洗いの重要性など、衛生習慣の啓蒙活動も同時に行われており、独自の工夫でトイレのデザインを競い合っている、そんな様子が見られました。

エルメラ県フンボエ村 サニテーションマーケティングを見学。

エスタド村から約30分のところにあるフンボエ村では、村のグループがトイレの建設資材を作り、コミュニティの内外に販売する活動「サニテーションマーケティング」の見学を行いました。

2010年度以降の千のトイレプロジェクトのトイレづくりは、村人が自身で調達可能な資材を使って行うため、出来上がるトイレの姿かたちは様々です。木や竹を使ったシンプルなものがほとんどですが、セメント製や陶器製の便器などの資材を買い、自宅のトイレをアップグレードする人もいます。

今回見学させてもらったサニテーションマーケティングのグループでは、セメントで作った便器やタンクなどの資材を一つ10ドル前後の価格で販売しています。これまで、村人が資材を買うには、乗合バスで大きな市街地まで行かなければならず、交通費や重い荷物の運搬など非常に負担が大きいものでした。村のグループが資材を製造し、販売することで、調達が楽になりました。こうした活動は、村の新たな現金収入獲得の手段となり、また、衛生に対する意識の向上にもつながります。

サニテーションマーケティングチームのリーダーのポリーナさんは、
「女性は子どもができると、どうしても家庭に入らざる得ないのですが、この活動を通じて、外部とコミュニケーションしたり、社会に出て収入を得られることができ、とてもうれしい。」
と我々に話してくれました。