nepia 千のトイレ2012プロジェクト

事前視察レポート

フィールド視察3日目4月12日エルメラ県サマレテ村

フィールド視察の最終日は、エルメラ県のサマレテ村を訪問。ここでは、これからプロジェクトの活動が本格的に始まります。トイレづくりに向けて非常に重要な「トリガリング」というミーティングを見学しました。

エルメラ県サマレテ村 トリガリング(トイレの必要性への気づきを促すワークショップ)を視察しました。

我々がサマレテ村のレボレマ集落に到着すると、集会所には村人が集まり、「トリガリング」に向けた説明がちょうど行われているところでした。
プロジェクトのトイレづくりは、村人自らが、そして村全体が、自分たちの手でトイレづくりを行うことが原則です。そのため、もっとも重要なことは、トイレづくりへのモチベーションを生み出すこととなります。
このトリガリングとは、村人が自らの意思でトイレづくりを決意し、始めるための引き金(トリガー)の役割を担う、重要なミーティングです。トリガリングは、現地NGOによって進行されます。

トリガリングについての詳しい説明はこちらをご覧ください

まず、チョークの粉や紙切れを使って、集会所の床に集落の地図を描きます。
トイレを持っておらず、日頃屋外排泄をしている人には、一人ずつ、自分が普段どこでそれをしているのかを、黄色いチョークを使ってマーキングしてもらいます。照れ笑い、恥ずかしそうな表情が会場のところどころに見られます。ほどなく、村全体が黄色い粉で埋めつくされ、村のあちこちで屋外排泄が行われていることが視覚的にわかるようになるのです。

その後、マーキングした場所へ実際に排泄物を拾いに行ったり、排泄物に触れた髪の毛を沈めたボトルの水を「飲めますか?」と聞いて回るなど、誰にでもわかりやすい方法で、屋外排泄根絶の重要性を説明します。

トリガリングの最後に、集会所に張り出した紙に、トイレづくりを決意した村人が、名前と、トイレづくりの期限を記入し、拇印を押していきます。
今回見学したトリガリングでは、全世帯ではありませんでしたが、全部で9世帯がトイレづくりを決意表明しました。村全体の屋外排泄根絶に向け、これからもこうした活動が継続されるそうです。

実際にトリガリングの様子を見て、村人に衛生の重要性を知ってもらうこと、モチベーションを生み出してもらうことの難しさを改めて知ることとなりました。今回の見学に同行したスタッフは、「もっと改善の余地があると思う」と振り返ります。トリガリングの成功率を高めるためには、多くの経験や知識が必要だということを実感しました。

トリガリングのカギを握るのは、ファシリテーターの役割を担う現地NGOです。
彼らがいかに上手に、わかりやすく村人たちを納得させ、村全体でトイレづくりを推進する雰囲気をつくることを成功させるためには、人材の育成が非常に重要です。
プロジェクトへの寄付金は、こうした現地NGOのトレーニングにも多く使用されます。衛生習慣の普及の今後のペースアップに向けて欠かせない支援です。

トリガリングによって生み出されたモチベーションは、人に伝播します。
隣の家の新しくできたトイレを見て刺激を受けたり、先に屋外排泄根絶を達成した近くの村に負けじと、独自にトイレづくりが始まったりと、プロジェクトの支援以外でも、衛生改善の取り組みが自然と広がっていくことが期待されています。
千のトイレプロジェクトは、東ティモールの衛生改善のペースが今後スピードアップしていくよう、引き続き、この国を応援していきたいと思います。