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アイレウ県マウメタ村トゥケウ集落にて、トリガリングと呼ばれるワークショップを見学。
ここは千のトイレプロジェクトの第5フェーズの支援対象地で、村の屋外排泄根絶に向けたプログラムが実施されようとしている地域です。
トリガリングとは、トイレの重要性への気づきを与え、強制的にトイレを使わせるのではなく、自主的にトイレを使いたいと気づくように促すワークショップです。この日は住民40名ほどが集まり、この集落では初めてのトリガリングが実施されました。
まず、現地NGOの指導のもと、住民が協力しながら、集落の地図を、セメントの粉を用いて描きます。次に、トイレのある家に、緑の紙を置くよう指示があると、48軒中15軒にトイレがあることが分かりました。しかし、実際にそのトイレを使っているのは3軒のみで、それ以外は、修理の仕方がわからない、水がない、面倒くさい、などの理由でトイレを使用しておらず、合計45世帯が屋外排泄をしていることがわかりました。川や、豚小屋で排泄している人がほとんどでした。
次に、こういった現状が、いかに不衛生であるかを気づくように訴えかけていきます。
進行役である現地NGOのスタッフは、参加者に向けてこう呼びかけます。
「家畜に排泄物を食べさせて、その豚をあなた達が食べているなら、あなたたちは自分の排泄物を食べているのと同じではないですか」
「この集落の45軒が、屋外排泄をしているということは、1世帯10人、1日あたりの排泄量を一人当たり500gとすると、一日225kg(およそコーヒー7袋)の排泄物が、毎日この集落に生み出されていますよ。」
「食事にたかるハエは、排泄物にもたかっていますよね。排泄物にたかったハエが、食事を汚していることになりますね。」
こうした中、ある住民から「でも昔からこうしてきたから」という意見もでてきましたが、すでにトイレを使っている住民から、「昔はそうでも、今は悪いことかもしれない。国も独立して進歩している。私たちも新しい情報をどんどん吸収し、良い方向に変えていこう。」という声が上がりました。続いて他の住民からも、「みんなでトイレをつくり、ハエが寄らないようにしなくては。」や「お客様が来たときに“草むらで排泄をして”と言うことが実は恥ずかしかった。」などの声が上がり、トイレを作りたいという気持ちをあらわす住民が多く見られ、住民たちはトイレづくりを決意しました。
希望者は、即日、トイレの作り方の指導を受けられます。さらに、3ヶ月後には、トイレづくりの進行状況を確認するモニタリングが行われます。