東ティモール視察レポート

事前視察レポート

事前視察レポート

今回の視察の最初の訪問先は、ユニセフ東ティモール事務所です。レネ副代表の挨拶のあと、「千のトイレプロジェクト」を通じてネピアが支援しているユニセフの活動が紹介されました。まずは2015年から2019年のカントリープログラムについての概略報告です。「保健と栄養」「教育」「子どもの保護・参加」「ソーシャル・インクルージョン(誰もが受け入れられる社会)」の4つのプログラムにフォーカスした予定が紹介されました。また、水と衛生のプログラムの責任者であるラメシュ氏からは、スライドとビデオを使ったプロジェクトの全容についてのプレゼンテーションが行われました。


1.WASHプログラムの紹介と子どもの健康状態の紹介
2.最近のトリガリング例の紹介
3.資材提供型のトイレ支援プロジェクトの現状報告
4.千のトイレプロジェクトの過程と結果の報告
5.CLTSアプローチの将来に向けた計画とチャレンジと機会


千のトイレプロジェクトとそれをとりまく東ティモールの水と衛生の問題について、40集落がODF宣言をしたフェーズ5に続き、フェーズ6では50集落がODF宣言することを目標としていることなどが報告されました。

また課題として、いくつかのNGOによって資材提供の支援が続けられていること。資材や設備がもらえると考えている集落の住民の考え自体を変えること。さらには、政府やNGOの人材不足を解消することなどが挙げられました。ユニセフは、これらの課題を克服することで、2019年度までにCLTSを5県で実施し、85%の住民がトイレを設置し、60%の集落がODF宣言をすることを目標にしています。子どもたちを巻き込む工夫、ファシリテーターを増やす方法、さらには、教育や栄養など他の部門との連携の仕方など。具体的な対策についても報告がありました。ユニセフの活動が、すでにCLTS型に移行していることがよく分かる報告会でした。

ユニセフ訪問後、首都ディリをあとにした一行は、山路を2時間走り、アイレウ県保健局に到着しました。ここでは、県保健局副局長モイゼス氏、保健センター長ロジェリオ氏、水道局局長のマルティーノ氏から、この地域の衛生状況についてのお話を伺いました。モイゼス氏は「水があっても衛生環境がないために、みんな手を洗わずに食事をしています。それによって下痢になる子どもがたくさんいます。原因が分かっていても手洗い場がないから洗えない。こういった悪循環に陥っています。」という厳しい現状について語ってくれました。母子健康保健サービスSISCa(Servisu Integrado Saude Comunitaria)が33箇所への月1回の循環診察しているものの、アイレウ県の病院や患者さんが置かれている環境はまだまだ劣悪です。子どもたちの病気としては呼吸器疾患・下痢・皮膚疾患の順に多いこと、乾季は水の環境がなくなるので病気が増えることなどが課題として挙げられました。

その後、実際にアイレウ県保健センターを訪問し、分娩室も含め、建物自体に水がきていない状況を視察。
「これらの課題を解決するために、日本の技術や制度を視察できればと思います。」ロジェリオ氏からは最後に、日本への「水と衛生に関するスタディツアー」の要望が出るなど、事態はまだまだ深刻です。

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