ホーム > 第5フェーズ:成果レポート
第5フェーズで計画されていた全ての活動が完了、目標が達成されました。
第5フェーズ期間中、48集落でトリガリングが行われました。1,155基の家庭用トイレが建設されましたが、過去の実績と比べると比較的低い数値になっています。これは、48集落のうち11集落が2008年から2010年にかけて実施した資材提供支援の対象地域で、すでに100%に近いトイレの普及率があったためです。トイレの使用に関する調査によると、資材提供支援の対象地域におけるトイレの使用率は全体で76%でしたが、農作業中などの外出中であっても必ずトイレを使用すると回答した(屋外排泄根絶の状況にある)世帯はわずか12%で、64%の世帯では、しばしばトイレを使用しないという状況にありました。本プロジェクトによってCLTSのトリガリングが行われ、その結果、11集落のうち9集落が既に屋外排泄根絶の検証を受けました。残る2集落でもすでに検証を受ける準備が整っています。これが、第5フェーズで目標としていた屋外排泄根絶コミュニティの数「16」を大きく上回る成果となった理由の一つです。
2014年1月~6月、パートナーNGOにより、支援対象の地域で新たに14回のトリガリングセッションが実施されました。これにより、「千のトイレプロジェクト」の第5フェーズでは、合計54集落がトリガリングを受けたことになります。 トリガリングの効果がより一層改善されたのは、Kamal Kar博士の訪問と、2013年11月に実施されたトレーナー研修によるものです。
トリガリングへのコミュニティの参加が最大限に得られるように、プレ・トリガリングの協議にも重点が置かれます。 コミュニティの人びとは、自分たちの衛生習慣に恥ずかしさや嫌悪感を抱くことによって、はじめてトイレづくり決意します。そのため、トリガリング・プロセスでは、尊厳やプライドを損なうことで、個人や集団が、草むらで排泄しているという「現実」に目を向けてもらいます。例えば、5人家族の世帯は1年間で平均1トンの排泄物を生み出します。トイレがない場合、すべての排泄物は人びとが日々水を汲んでいる池などを含め、コミュニティの環境に入り込むことになります。
ハエが排泄物から食物にとまり、排泄物で汚されたその食物を、人びとは気づかずに口にしている。トリガリングの参加者たちは、その事実を目の当たりにしたことで、コミュニティ全体でトイレをつくり、常にきちんとトイレを使用しない限り排泄物は体内に入り込み、病気に罹るリスクが高まるということに気づきます。この気づきによってコミュニティの人びとは、どうしたらコミュニティ全体で屋外排泄を止めることができるのかを考え始めます。ファシリテーターは、Kamal Kar博士から適切なトリガリングのテクニックを習得しました。
アイナロ県Raibatudo集落で行われたトリガリングセッションの様子。NGOスタッフのファシリテーションの下、コミュニティの人びとが村の地図を描いています(左)。 村の庭で収集され、床に置かれた排泄物を見て嫌悪感を露わにする村の女性たち(右)/ 2014年5月
コミュニティの保健員(PSF)はNGOスタッフのサポートを受け、対象のコミュニティでSISCAを通じた衛生促進活動を実施しました。またNGOスタッフも、対象のコミュニティで子どもたちやその母親、父親を巻き込んだ衛生促進キャンペーンを実施しました。これらのセッションの目的は、石けんを使った手洗いやトイレの使用、屋外排泄を止めることの重要性、赤ちゃんの排泄物の安全な取り扱いなど、主要な衛生習慣を伝え、普及することでした。
対象コミュニティで行われた衛生キャンペーンの様子/ 2013年11月エルメラ県にて
以下3つの給水設備の建設に王子ネピアからのご支援が活用されました。
1. アイレウ県、Remexio郡、 Fahisohi村、Mautoba 集落(給水設備の新設)
2. エルメラ県、Atsabe 郡、Laclo村、 Laclo集落(給水設備の修復)
3. エルメラ県、Atsabe郡、 Laclo村、Sorati 集落(給水設備の新設)
Mautoba集落の給水設備は既に活動が完了しており、100世帯と1つの小学校の児童86人を含む、計600人に水を供給しています。Laclo集落の給水設備も活動が完了し、76世帯と1つの小学校の児童280人を含む計420人に水を供給しています。 Sorati 集落の給水設備は活動の90%が完成しており、80世帯(480人)のほとんどの人が既に新しい設備から供給される清潔な水を利用しています。設備には10個の水道スタンド(水場)が設置されますが、そのうち2つが未完成です。さらに洪水による浸食から取水を守るために追加の作業も行われ、これらの活動は2014年7月末までに完了する予定です。