nepia 千のトイレプロジェクト2010

プロジェクト進捗レポート5
レボレマ村のプロジェクトレポート


東ティモール国内でユニセフのパートナーとして活動するNGO、AMARのアントニオさんから、レボレマという村での水と衛生のプロジェクト実施のレポートが届きました。

村で、活動がスタートするところから、完了するまでを、みなさまにご紹介します。

私はアントニオ・ホセ、国内NGO、AMARの所長です。2006年から農村部の衛生分野でユニセフ、インフラ省・水と衛生サービス局(DNSAS)と共に活動しています。

私たちは2009年9月、私たちはアイレウ県ファトゥリラウ村にある小さなコミュニティ、レボレマに行き、このコミュニティでの会議を申し込みました。

レボレマは29世帯、人口121人の周囲から孤立した小さなコミュニティです。このコミュニティに住む子どもの10人に4人は5歳未満の子どもです。小さな学校や、町役場として使われている小屋はありますが、ここには給水設備がありません。住民はみな屋外で用を足すことを習慣としており、いくつかの家では豚小屋をトイレとして使用していました。
レボレマに行くための道路はなく、山へと続くおよそ9kmの小道しかありません。雨季は、手前のファトリラウ村にすら車で行くことができず、レボレマへの到達は更に困難になります。

住民たちはこのコミュニティで水と衛生プロジェクトが始まることを知って大変喜んでいました。首長は、このプロジェクトが始まることを長いこと心待ちにしていたと話しました。

コミュニティと、どうやってこのコミュニティの水と衛生分野を改善するかを話し合い、意見を出し合いながら一緒に衛生分野の活動計画を立てました。


村でのミーティングの様子

まず、私たちは住民と、ソーシャルマップやリソースマップを用意し、各家庭のデータを収集しました。この地図には、トイレがある家庭とない家庭の数などが書かれており、村の状況を示しています。コミュニティはこの地図をトイレの建設計画を話し合うために使用しました。

住民の合意が得られた後は、トイレの建設を実行するためのサブグループを3つ作る手伝いをしました。また、住民たちは、給水設備設置の計画と建設に責任を持つ水ユーザーグループを作ることを決めました。

計画作りの最中、DNSASが作成した調査票を使って、給水設備やトイレへのアクセス、周囲の環境、コミュニティにおける家庭の衛生習慣について調査をし、データを集めました。ここに住む家族を良く知ること以外に、このプロセスによって、コミュニティとの会議で住民たちから得た情報が正しいものであることを立証し、コミュニティと共に現実的な計画を立てることを可能にしました。1週間の努力の末、建設計画ができあがりました。

計画が作られた後、レボレマの首長による共同声明が調印されました。その声明は、計画作りに参加したすべての家族も調印しました。また、調印式は、家庭用トイレと給水設備の建設を始める一つの合図となりました。この声明ではトイレ建設にあたって村人たちが労働力や地元で調達できる資材を提供することを約束しています。

私たちは首都のディリに戻ってきて、政府やユニセフとミーティングを持ちました。レボレマは地理的に孤立しており、すべての家族は貧しく弱い立場にあるので、コミュニティにセメントや鉄棒、便器などの建設資材を提供することを提案しました。ユニセフがこれらの建設資材を提供し、私たちがレボレマ近くの道まで届けるよう手配しました。準備を知らされたサブグループのメンバーたちは、資材を受け取ろうと道に集まりました。彼らは、これらの資材を持って村まで9kmの道を歩いて帰りました。村人たちは、セメントと混ぜて使う砂や、トイレの壁や屋根に使うための竹、木、芝を集めました。彼らは、これらの資材を集めるためにも、かなり遠くまで歩かなければなりませんでした。

私たちのスタッフ2人はコミュニティに住み、トイレ建設のためサブグループを手伝いました。サブグループのメンバーたちは、トイレ建設を互いに助けあい、男の人がいない家庭の手伝いをするなどしました。


石積みで作られたトイレ用の穴

セメントで作られたトイレのカバー

壁を建てる前の段階のトイレ

たった5ヶ月で、すべての家に家庭用のトイレが作られました。私は、住民たちの笑顔を見ることができて幸せです。住民たちは外で用を足すこと止め、豚小屋もトイレとして使われることがなくなりました。すべての家族が新しく建てられたトイレを使用しています。私たちにとって次の挑戦は、安全で清潔な水を彼らの家の近くで提供することです。(*給水設備は、2009年の千のトイレプロジェクトによる支援活動の第二フェーズとして、2010年5月以降に建設が始まる予定です)

村での活動のようすなどを、これからもみなさんに定期的にお伝えしていく予定です。
プロジェクトへの応援をどうぞよろしくお願いします。